三陸鉄道リアス線(宮古〜釜石間)
2014年1月31日の第7回山田線復興調整会議においてJR東日本は、210億円と試算された復旧費用のうち線路や設備などの原状回復に伴う140億円を自社で負担すると明言した上で、被災した線路や駅舎を復旧させ、10年間の赤字補填分などとして5億円を負担し、当区間の運行事業を三陸鉄道に、線路などの鉄道施設を三陸鉄道と沿線4市町にそれぞれ無償で譲渡、経営移管する案を示した。この案に対して、赤字路線を引き継ぐことで新たな財政負担を抱えることになる山田町と大槌町は慎重な態度をとった。同年11月25日、JR東日本と交渉してきた県は、盛岡市で開いた首長会議において沿岸12市町村長らに、JR東日本から一時金として当初の5億円から大きく上積みした30億円を負担するなどの提案があったことを報告。12市町村は議会や住民に説明し、県と市町村は12月議会などを経て年内に改めて会議を開き、受け入れるかどうかを最終決定することとなった。山本正徳宮古市長、野田武則釜石市長、またこれまで負担額を懸念していた佐藤信逸山田町長、碇川豊大槌町長も、12月上旬に相次いで、移管案を受け入れる旨、前向きな見解を表明。12月24日、達増拓也岩手県知事、沿岸12市町村長、望月正彦三陸鉄道社長らが盛岡市で開かれた会議にて、移管受け入れについては合意、基本合意文書を結ぶこととなった。これを受けて、12月26日、達増拓也岩手県知事と山本正徳宮古市市長が東京都内で冨田哲郎JR東日本社長と会談し、三陸鉄道への移管を受け入れる方針を伝えた。不通区間の復旧工事については2015年3月7日に着工された。復旧費用の210億円のうちJR東日本が140億円を負担し、残りの70億円を復興交付金から支出された。当初計画では2016年開催の希望郷いわて国体までに宮古駅〜豊間根駅間および鵜住居駅〜釜石駅間を先行して復旧させて三陸鉄道の路線として開業する予定であったが、岩手県や沿線自治体は、部分復旧した場合CTC未整備などにより安全上に問題があるとして、2015年7月31日には全線一括復旧を基本方針とする協定書が締結された。三陸鉄道への移管区間の路線名については「三陸鉄道リアス線」とする計画であるが、現在の北リアス線と南リアス線の区間についても移管区間と同じく「リアス線」と路線名を改称して統一することを検討、2017年12月25日の同社取締役会で正式に「リアス線」に統一することが決定した。また、山田線の釜石−宮古間については、新設予定の「宮古短大」「払川」を除き、現在の駅名を使用することとした。2018年7月18日までに同区間の復旧工事のうち、建築工事が全て完了し、同区間のレールが全線で締結され、宮古 - 釜石間のレールが全線で繋がった。2019年1月31日には移管区間の事業の実施主体がJR東日本から三陸鉄道への変更などを定めた鉄道事業再構築実施計画が地域公共交通活性化再生法に基づき認定され、宮古〜釜石間の運行を2019年3月23日に開始された。しかし、同年10月12日台風19号により全線で運休となっている。(同年11月28日宮古〜津軽石間再開)