JR根室本線(滝川〜新得駅間)

 明治29年5月14日に公布された北海道鉄道敷設法により,北海道内における鉄道整備が決まり,ルート決定後,旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道として北海道官設鉄道によって旭川,釧路双方から着工された。旭川側は明治32年9月1日に旭川〜美瑛間が,釧路側は明治34年7月20日に釧路〜白糠間が開業したのを皮切りに,明治40年9月8日には狩勝トンネルの完成により落合〜帯広間が開業。旭川〜釧路間が全通し,釧路線となった。大正2年11月10日には滝川 〜下富良野(現在の富良野)間の新線が開業し,起点を旭川から滝川に変更となった。線路名称は釧路本線となり、旭川〜 富良野間は富良野線として分離した。これ以降,釧路以東への延伸が行われ,大正6年12月1日に厚岸,大正8年)11月25日には厚床、大正9年11月10日に西和田,大正10年8月5日に根室まで延伸し全通し,同時に線路名称を根室本線に改めた。昭和41年)10月1日に落合〜新得間の狩勝峠の区間を新線に切り替え,昭和56年10月1日には短絡ルートとなる石勝線の開業により,道央と十勝釧路を結ぶほとんどの列車運転系統が従来の滝川経由から石勝線経由に変更され,大幅な到達時間の短縮が図られた。この変更により根室本線においては新狩勝トンネル以北を通過する優等列車はほとんどなくなった。さらに平成6年1月20日には、釧路市と帯広市の出資による「道東高速鉄道開発」(現在の北海道高速鉄道開発の前身)が設立され,石勝線とともに根室本線の新狩勝トンネル〜釧路間の高速化改良事業が実施された。この事業は平成9年3月22日に完成し,札幌駅〜帯広駅・釧路駅間の大幅な所要時間短縮が実現し,現在に至る。
 平成28年11月18日にJR北海道は厳しい経営状況を理由に「自社単独で維持することが困難な路線」として,10路線13区間を発表した。根室本線のうち新得駅〜帯広駅間はJR北海道単独で維持可能,帯広駅〜釧路駅間は当面,JR北海道による運営・維持を継続するものの地上設備の管理を行う北海道高速鉄道開発との関連で検討を進めるとしている。一方,滝川駅〜富良野駅間,釧路駅〜根室駅間は『自社単独では老朽土木構造物の更新を含め「安全な鉄道サービス」を持続的に維持するための費用を確保できない線区』とされ,今後は経費節減や運賃値上げ、利用促進策、上下分離方式への転換などを軸に沿線自治体と協議する予定となった。富良野駅〜新得駅間は『持続可能な交通体系とするためにバス等への転換について地域の皆様と相談を開始』とされ,路線を廃止しバス等へ転換することを沿線自治体と協議する予定。平成30年6月17日の6者協議でJR北海道は単独では維持困難とする12線区のうち,札沼線の一部や留萌線などと並んで富良野〜新得間を廃止し,バス転換する方針を明らかにした。今年中に沿線自治体の合意を得て,2020年度を目処に廃止したいとしている。

滝川 東滝川  赤平  茂尻  平岸 
芦別  上芦別  野花南  富良野  布部 
山部  下金山  金山  東鹿越  幾寅 
落合  新得       

訪問日:平成29年8月