JR札沼線(石狩当別〜新十津川駅間)
JR札沼線は改正鉄道敷設法別表第136号に規定する「石狩國札幌カラ當別ヲ經テ沼田ニ至ル鐵道」であり,昭和6年10月10日に北側の石狩沼田駅〜中徳富駅(初代。現在の新十津川駅)間が札沼北線として開業したのを皮切りに,南北双方から建設が進められ,昭和10年10月3日の石狩当別駅〜浦臼駅間の開業によ桑園駅から留萌本線と接続する石狩沼田駅まで全通し,札沼北線が南側の札沼南線に編入され,札沼線と改称した。
その後,太平洋戦争が激しくなると「近接して並行路線があり代替輸送が可能」なことから,不要不急線として石狩当別駅〜石狩沼田駅間が休止され,道路に転用された。戦後になると昭和31年11月16日までに全線での運行を再開したが,営業成績は振るわなかった。その結果昭和43年にはいわゆる「赤字83線」としてに廃止すべき路線に名前が挙げられ,昭和47年6月19日に新十津川駅
〜石狩沼田駅間が廃止された。
一方,桑園〜北海道医療大学駅間は札幌市北部での住宅開発の進展などにより利用客数は飛躍的に伸び,新駅の設置,高架化,複線化などを実施した後,平成24年6月1日には交流電化開業し,同年10月27日から非電化区間直通列車を除く全列車が電車化された。
北海道医療大学〜新十津川駅間は平成28年11月18日、JR北海道は厳しい経営状況を理由に「自社単独で維持することが困難な路線」とされ,この区間が属する「輸送密度が200人未満の線区」は,線区単独で輸送に直接必要な費用(燃料費・乗務員の人件費)を賄うことも困難な状況であり,「持続可能な交通体系とするためにバス等への転換について地域の皆様と相談を開始する」とした。平成29年11月14日に当該区間沿線の4町長(当別町・月形町・浦臼町・新十津川町)は、新十津川町で開いた会合で、「同区間の現状維持は極めて厳しい」との認識で一致し,路線存続の方針は維持しつつ今後はバスも含めて代替交通機関を検討することとした。また,平成30年1月16日には沿線4町と道による「札沼線沿線まちづくり検討会議」が発足し,当初同年3月に存廃の結論を出す予定としていたが,同年2月16日にJR北海道から提案された「新しい交通体系」の内容が区間別であり,各地域で公共交通の事情が異なることから同年3月5日まちづくり検討会議は,各町が個別にJR北海道とのバス転換受け入れ協議を始めることを表明し,最終判断は同年夏までずれ込む見込みとなっている。同年8月2日のまちづくり検討会議では当別町が協議中であるとして廃止受け入れには至らなかった。最終的に同年10月12日のまちづくり検討会議にて,当別町も含めた4町が同区間の廃止・バス転換で合意し,維持困難路線では,発表前に自治体が廃止を受け入れた石勝線夕張支線を除くと,初の廃止受け入れとなった。廃止時期については2019年度末を主張する月形町と,2019年内を主張する他町とで不一致が続いたが,最終的に2020年5月6日を運行最終日とし,5月7日付で廃止する方針となった。しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,定期列車の廃止日が4月24日,沿線4町の利用者を対象にしたラストランを4月27日に繰り上げると4月15日に発表された。その翌日には,北海道が新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の対象地域となったことに伴い,定期列車の最終運行が4月17日に繰り上がり,住民向けのラストランは中止となった。
訪問日:平成29年8月